Homoeopathy(ホメオパシー)とは、ギリシャ語のhomeoeo(同じ)と pathy(病気)を合わせた言葉で、日本語では「同種療法」と呼ばれています。近代西洋医学(アロパシー:allo=違う patheia=病気)のような症状を抑え込む対症療法とは異なり、「症状には同じような症状を出すものを天文学的に希釈振盪して与える」という「同種の法則」に基づいた療法です。症状は体からのメッセージであり、同種療法によって自然治癒力を触発し、症状を出し切ることで治癒につながるという考え方です。

医学の父ヒポクラテス(B.C.460-B.C.377)の有名な格言があります。

「人間は体の中に100人の名医を持っている。その100人の名医とは自然治癒力である。」

風邪をひいた時、発熱したり咳が出たり鼻水が出るのはなぜでしょう。それは私たちの体の中にいる名医たちが正しく働いてくれているからです。

 

 ドイツ系スイス人の医者パラソーサス(1493or94-1541)の「Similia Similibus Curantur」(同種は同種によって治される)という錬金術に影響を受けたドイツの医者サミュエル・ハーネマン(1755-1843)は、健康な人が摂るとマラリアのような症状を起こすキナの皮(原物質)が、マラリアの特効薬であることに着目しました。その後、様々な原物質を健康な人が摂ると、どのような症状が現れたかを詳細に記録し、「症状を起こすものは、その症状を取り去るものになる」という「同種の法則」が根本原則のホメオパシー療法を生涯をかけて完成させました。

 

たとえば、風邪をひいて発熱した時、近代西洋医学の考え方に慣れた私たち現代人は、発熱=重病ととらえ、熱を下げなければと焦ります。実は、私たちの内なる名医たち(自然治癒力)が治癒させるために働いているのが発熱なのです。その名医たちの働きである発熱に対し、ホメオパシーでは熱を出す作用のあるものの情報パターン(レメディー)を体内に入れ、名医たちのお手伝いをします。そうすると、その情報パターンは実際の熱と同種で共鳴し、自己治癒力を触発させ自らの力で優しく治っていきます。

 

私たちの国日本でも同種療法はあります。

たとえば、風邪をひいて鼻水が出ると首に長ネギを巻くという民間療法は、長ネギを料理する際に包丁で刻むと鼻水がでることから、鼻水には鼻水の出るものを与えるという同種療法です。このように昔から民間療法には同種療法があるのです。

 

ホメオパシーは、体からのメッセージに従い、症状を抑圧するのではなく、症状を出し切れるように後押しします。そうして心身が抱える不自然なパターンを解放し、真の自分を取り戻して本来の自分を生きることができるようになる自然療法です。